約款について
約款に基づく契約の締結
不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約の締結をするときは、不動産特定共同事業契約約款に基づいて、これをしなければならないとされています。
ただし、不動産特定共同事業者、小規模不動産特定共同事業者又は特例事業者が特例投資家のみを相手方として不動産特定共同事業契約の締結をする場合であって、当該不動産特定共同事業契約により当該不動産特定共同事業契約上の権利義務を他の特例投資家に譲渡する場合以外の譲渡が禁止される旨の制限が付されているときは、約款に基づかずに不動産特定共同契約を締結することができます。
なお、必ずしも不動産特定共同事業 契約約款と一字一句同一の文言の契約である必要はなく、不動産特定共同事業契約において字句を修正する程度のものは不動産特定共同事業法法第23条に反するものありません。
約款の内容の基準
不動産特定共同事業契約約款には、少なくとも次に掲げる事項が定められなければならないとされています。
(1)法第2条第3項各号(小規模不動産特定共同事業者の不動産特定共同事業契約約款にあっては、同項第1号及び第2号)に掲げる契約の種別に関する事項
法第2条第3項各号(小規模不動産特定共同事業者の不動産特定共同事業契約約款にあっては、同項第1号及び第2号)に掲げる契約の種別のいずれに該当するかを明示したものであること。
(2)不動産特定共同事業契約に係る不動産取引の目的となる不動産の特定及びその不動産取引の内容に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 不動産特定共同事業契約の締結をするときに、対象不動産の所在、地番、用途、土地面積、延べ床面積その他の対象不動産を特定するために必要な事項を記載する欄があるもの(対象不動産変更型契約にあっては、変更前の対象不動産に関するものに限る。)
ロ 対象不動産の変更の予定の有無に関する定めがあるもの
ハ 出資を伴う契約のうち、金銭をもって出資の目的とする契約にあっては、対象不動産の取得の予定時期に関する定め及び当該予定時期までに取得できなかった対象不動産がある場合においては、当該対象不動産により営むことを予定していた不動産取引を行うのに必要な額として出資された額について出資総額に対する出資の割合に応じて事業参加者に対し返還する旨その他これに準ずる公正な定めがあるもの(対象不動産変更型契約にあっては、変更前の対象不動産に関するものに限る。)
ニ 対象不動産の取得の予定時期までに出資された金銭を運用する場合(対象不動産変更型契約に基づき不動産特定共同事業を行う場合にあっては、対象不動産の売却等(当該対象不動産の売却等により契約が終了するものを除く。)により得られた金銭(特定金銭)を運用する場合及び下記(8)の運用をする場合を除く。)にあっては、当該出資された金銭について約款に定められた下記(6)に掲げる事項に関する規定を適用する旨の表示があるもの
(3)事業参加者に対する収益又は利益の分配に関する事項
事業参加者に対し分配すべき収益又は利益の額の算定の方法並びにその分配の時期及び方法に関する定めがあること。
(4)不動産特定共同事業契約に係る財産の管理に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 出資を伴う契約のうち、金銭をもって出資の目的とする契約にあっては、当該契約の締結をするときに支払期日又は支払期限及び出資総額の限度額又は出資予定総額を記載する欄があるもの
ロ 出資又は賃貸若しくは賃貸の委任の目的である財産を、当該不動産特定共同事業契約に係る不動産取引により運用する旨を明示したもの
ハ 修繕費、損害保険料その他対象不動産を管理するために必要な費用の負担に関する定めがあるもの
ニ 不動産特定共同事業契約においてあらかじめ定められた出資又は費用の額を超えて負担を求める場合にあっては、その要件及び事業参加者の同意に係る手続その他これに準ずる公正な手続に関する定めがあるもの
ホ 出資を伴う契約にあっては、対象不動産を当該不動産特定共同事業契約に基づく不動産特定共同事業の目的以外のために担保に供し、又は出資の目的とすることを禁ずる旨を明示したもの
ヘ 任意組合型の契約のうち不動産の所有権を出資するものにあっては、対象不動産につき業務の執行の委任を受けた者を登記名義人として民法第667条第1項の出資を登記原因とする所有権移転の登記を行う旨の定めがあるもの
(5)契約期間に関する事項
不動産特定共同事業契約の締結をするときに契約期間を記載する欄並びに契約期間の延長を予定する場合にあってはその要件及び手続に関する定め(契約期間を定めない場合にあっては、その旨の定め)があること。
(6)契約終了時の清算に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 契約終了の原因となる事由及び契約終了時の残余財産の分配の方法その他の清算の手続について明確かつ公正な定めがあるもの
ロ 出資が予定した財産に満たない場合であって不動産特定共同事業者等が出資を行わないときその他のやむを得ない事由があるときには、不動産特定共同事業契約が終了する旨の定めがあるもの
(7)契約の解除に関する事項
やむを得ない事由が存する場合に契約を解除し、又は組合から脱退することができる旨の定めがあること。
上記の場合を除き、契約を解除し、又は組合から脱退することができる場合にあっては、その条件及び手続に関する定めがあること。
(8)不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者の報酬に関する事項
不動産特定共同事業者等の報酬の額の算定の方法並びに収受の時期及び方法に関する定めがあること。
対象不動産変更型契約における報酬の額の算定の方法は、対象不動産の価額又は収益若しくは利益に対する割合を基礎として算定する方法その他の公正な方法であること。
(9)その他主務大臣が事業参加者の保護のため必要かつ適当であると認めて主務省令で定める事項
次に掲げるもの(対象不動産を追加して取得し、又は自己の財産若しくは他の不動産特定共同事業契約に係る財産を対象不動産に追加すること(対象不動産の追加取得)により対象不動産の変更を行うこと(対象不動産の変更)を予定する不動産特定共同事業契約(対象不動産変更型契約)以外の不動産特定共同事業契約に基づき不動産特定共同事業を行う場合にあっては、⑦及び⑧に掲げるものを除く。)とする。
①対象不動産の所有権の帰属に関する事項
対象不動産の所有権の帰属する主体に関する定めがあること。
②不動産特定共同事業契約に係る不動産取引から損失が生じた場合における当該損失の負担に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 出資を伴う契約にあっては、元本の返還について保証されたものではない旨を明示しているもの
ロ 任意組合契約等であって事業参加者が無限責任を負うものにあっては、事業参加者が無限責任を負う旨(不動産特定共同事業者等が事業参加者に代わって不動産特定共同事業契約に係る不動産取引から損失が生じた場合における当該損失を負担する旨の特約をする場合にあっては、その旨。)を明示しているもの
③業務及び財産の状況に係る情報の開示に関する事項
業務及び財産の状況に係る情報であって次に掲げるものが事業参加者に開示されるための方法に関する定めがあること。
イ 財産管理報告書の記載事項
ロ 事業参加者の求めに応じ閲覧される業務及び財産の状況を記載した書類の記載事項
ハ 事業参加者名簿の記載事項
④対象不動産を売却し、又は自己の固有財産とし、若しくは他の不動産特定共同事業契約に係る財産とする行為(対象不動産の売却等)に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 対象不動産の売却等の予定の有無に関する定めがあるもの
ロ 対象不動産の売却等を予定する場合にあっては、当該対象不動産の売却等の手続及び当該対象不動産の売却等の価格が当該不動産の鑑定評価額又は近傍同種の不動産の取引価格等に照らし合理的なものであることを担保するために必要かつ適切な措置に関する定めがあるもの
ハ 不動産特定共同事業者等は、対象不動産の売却等をした場合には、遅滞なく、事業参加者に当該対象不動産の売却等により生ずる収益又は利益の分配を行う旨その他これに準ずる公正な定めがあるもの
⑤事業参加者の契約上の権利及び義務の譲渡に関する事項
契約の相手方である不動産特定共同事業者等の同意を得た場合に限り、事業参加者の契約上の権利及び義務を譲渡することができる旨の定めがあること。
⑥不動産特定共同事業の業務を行う上での余裕金(業務上の余裕金)の運用に関する事項
次に掲げる方法によるほか、業務上の余裕金を運用しない旨の定めがあること。
イ 国債、地方債若しくは政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)、長期信用銀行、信金中央金庫、農林中央金庫若しくは株式会社商工組合中央金庫の発行する債券又は金融商品取引法第2条第1項第15号に掲げる有価証券(あらかじめ約定した期日にあらかじめ約定した価格で売り戻すことを約して購入されるものに限る。)の取得
ロ 銀行、信用金庫、信金中央金庫、信用協同組合、全国を地区とする中小企業等協同組合連合会、労働金庫、労働金庫連合会、農業協同組合若しくは農業協同組合連合会、農林中央金庫又は株式会社商工組合中央金庫への預金又は貯金
⑦対象不動産の変更に係る手続に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 対象不動産の追加取得の方針及び手続について、次に掲げる欄及び定めがあるもの
(1)不動産特定共同事業契約の締結をするときに対象不動産の追加取得の方針に関する次に掲げる事項を記載する欄
- 追加取得する不動産の所在地域、延べ床面積、構造方法、用途及び建築後の経過年数並びに敷地面積その他の追加取得する不動産の選定の基準に関する事項
- 地域別、用途別その他の追加取得する対象不動産に係る分類別の比率の予定が明らかである場合にあっては、当該比率に関する事項
- 追加取得に係る借入れに関する制限に関する事項
- その他事業参加者の判断に重大な影響を与える事項
(2)対象不動産の追加取得の手続に関する定め
(3)対象不動産の追加取得の方針及び手続の変更に関する明確かつ公正な定め
(4)対象不動産の追加取得の方針及び手続の変更に反対する旨を通知した事業参加者の契約上の権利及び義務を取得し、又は第三者に取得させることその他の事業参加者の保護のために必要かつ適切な措置に関する定め
(5)対象不動産の追加取得の価格が当該対象不動産の鑑定評価額又は近傍同種の不動産の取引価格等に照らし合理的なものであることを担保するために必要かつ適切な措置に関する定め
ロ 不動産特定共同事業者等は、対象不動産の売却等(当該対象不動産の売却等により契約が終了するものを除く。)をしたときは、当該対象不動産の売却等をした日から三十日以内に、事業参加者に対し、当該対象不動産の売却等に係る対象不動産の所在、地番、用途、土地面積、延べ床面積その他の当該対象不動産を特定するために必要な表示、当該対象不動産の売却等をした日、当該対象不動産の売却等の価格、譲受人と不動産特定共同事業者等との関係、当該対象不動産の売却等をした日における財産の状況並びに対象不動産の追加取得の方針及び手続並びに対象不動産の追加取得の予定時期の定めがある場合にあっては当該予定時期を記載した書面を交付する旨又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(第四十四条第一項各号に掲げる方法であって、同条第二項に掲げる基準(同項第三号に掲げる基準を除く。)に適合するものをいう。以下この号において同じ。)により提供する旨の定めがあるもの
ハ 特定金銭の運用方法について明確かつ公正な定めがあるもの
ニ 不動産特定共同事業者等は、対象不動産の追加取得をしたときは、当該対象不動産の追加取得をした日から30日以内に、事業参加者に対し、当該対象不動産の追加取得に係る対象不動産の所在、地番、用途、土地面積、延べ床面積その他の当該対象不動産を特定するために必要な表示、当該対象不動産の追加取得をした日、当該対象不動産の追加取得の価格、譲渡人と不動産特定共同事業者等との関係、当該対象不動産の追加取得をした日における財産の状況、当該対象不動産により営む不動産取引の方法、修繕費、損害保険料その他の当該対象不動産を管理するために必要な費用の負担に関する事項、当該対象不動産の売却等の予定の有無及び当該対象不動産の売却等を予定する場合における当該対象不動産の売却等の手続を記載した書面を交付する旨又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する旨の定めがあるもの
ホ 不動産特定共同事業者等は、次に掲げる行為又は取引をする場合においては、事業参加者に対し、当該行為又は取引に係る財産を特定するために必要な表示、当該行為又は取引の予定時期並びに当該財産の評価額及びその算出根拠を記載した書面を事前に交付する旨又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する旨の定めがあるもの
(1)不動産特定共同事業契約に係る財産を、自己の固有財産又は他の不動産特定共同事業契約に係る財産とする行為
(2)自己の固有財産又は他の不動産特定共同事業契約に係る財産を不動産特定共同事業契約に係る財産とする行為
(3)利害関係人との間における不動産特定共同事業契約に係る財産に関する取引
ヘ 既に締結された対象不動産変更型契約に追加して行う不動産特定共同事業契約の締結の勧誘(以下「追加募集」という。)の予定の有無に関する定めがあるもの
ト 追加募集を予定する場合にあっては、次に掲げる欄及び定めがあるもの
(1)不動産特定共同事業者等は、追加募集を開始する前に、事業参加者に対し、当該追加募集に係る募集予定総額、当該追加募集の方法、出資された財産により追加取得する対象不動産の所在、地番、用途、土地面積、延べ床面積その他の当該対象不動産を特定するために必要な表示及び当該対象不動産により行う不動産取引の方法を記載した書面を交付する旨又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する旨の定め
(2)追加募集に係る募集額の決定方法、当該追加募集の方法その他の当該追加募集に係る公正な手続に関する定め
(3)追加募集に係る募集額の累計額の上限を定める場合にあっては、不動産特定共同事業契約の締結をするときに当該累計額の上限を記載する欄及び当該累計額の上限を超える追加募集を行う場合の手続に関する定め
(4)追加募集を直接の原因として当該追加募集の開始前から事業参加者である者が有する不動産特定共同事業に係る権利の価格が変動するおそれがある旨の定め及び不動産特定共同事業契約の締結をするときに想定されるその変動の概要を記載する欄
チ 不動産特定共同事業者等が対象不動産の変更をするときに、当該対象不動産の変更に係る対象不動産の選定並びに当該対象不動産の変更の時期及び方法に関し助言を受けることを内容とする契約を締結する場合にあっては、不動産特定共同事業契約の締結をするときに、当該助言を受けることを内容とする契約の相手方の商号若しくは名称又は氏名、住所、法人にあってはその代表者の氏名及び当該契約の内容を記載する欄があるもの(当該契約の相手方が不動産投資顧問業者である場合にあっては、不動産特定共同事業契約の締結をするときに、当該助言を受けることを内容とする契約の相手方の商号又は名称、住所、その代表者の氏名、当該契約の内容及び不動産投資顧問業者の登録を受けている旨を記載する欄があるもの)
リ 対象不動産の売却等及び追加取得に係る判断が弁護士、公認会計士又は不動産鑑定士その他の者であって不動産取引に係る実務に関する知識を有する公正な第三者が関与して適正に行われることを担保するための必要かつ適切な措置に関する定めがあるもの
⑧不動産特定共同事業契約に基づき出資された財産のうち不動産特定共同事業の業務に係る金銭以外の金銭(業務外金銭)の運用に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 業務外金銭の運用方法について上記⑦ハの定めを準用する旨の定めその他これに準ずる明確かつ公正な定めがあるもの
ロ 業務外金銭及び特定金銭の合計額が、1年以上継続して不動産特定共同事業の業務に係る財産の額から特定金銭の額を控除した額の7分の3を超えない旨の定めがあるもの
ハ 業務外金銭及び特定金銭の合計額がロの定めに反することとなった場合において、ロに規定する割合を超える部分に係る金銭について出資総額に対する出資の割合に応じて事業参加者に対し速やかに返還する旨の定めその他これに準ずる明確かつ公正な定めがあるもの
⑨第三号事業又は小規模第二号事業を行おうとする者の不動産特定共同事業契約約款にあっては、不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務の委託先に関する事項
次に掲げるものであること。
イ 不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務の委託先の商号又は名称及び住所を明示したもの
ロ 不動産特定共同事業契約の締結をするときに当該委託に係る契約の概要を記載する欄があるもの
⑩第三号事業又は小規模第二号事業を行おうとする者の不動産特定共同事業契約約款にあっては、委託特例事業者の報酬に関する事項
委託特例事業者の報酬の額の算定の方法並びに収受の時期及び方法に関する定めがあること。
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