賃貸住宅管理業者の業務
目次
業務処理の原則
賃貸住宅管理業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならないとされています。
名義貸しの禁止
賃貸住宅管理業者は、自己の名義をもって、他人に賃貸住宅管理業を営ませてはなりません。
罰則
名義貸しにより他人に賃貸住宅管理業を営ませたときは、違反した者に対し、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれの併科という罰則があります。
管理受託契約の締結前の書面の交付
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人(賃貸住宅管理業者である者その他の管理業務に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明する必要があります。
説明すべき事項
- 管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
- 管理業務の対象となる賃貸住宅
- 管理業務の内容及び実施方法
- 報酬の額並びにその支払いの時期及び方法
- ⅳの報酬に含まれていない管理業務に関する費用であって、賃貸住宅管理業者が通常必要とするもの
- 管理業務の一部の再委託に関する事項
- 責任及び免責に関する事項
- 委託者への定期報告に関する事項
- 契約期間に関する事項
- 賃貸住宅の入居者に対するⅲに掲げる事項の周知に関する事項
- 管理受託契約の更新及び解除に関する事項
書面交付及び説明が不要な場合
管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人が以下に該当する場合には、書面交付及び説明は不要です。
- 賃貸住宅管理業者
- 特定転貸事業者
- 宅地建物取引業者(宅地建物取引業者とみなされる信託会社、信託銀行、登録投資法人及び特例事業者を含む。)
- 特定目的会社
- 組合
- 賃貸住宅に係る信託の受託者(委託者等がⅰ~ⅳのいずれかに該当する場合に限る。)
- 独立行政法人都市再生機構
- 地方住宅供給公社
電磁的方法による提供
賃貸住宅管理業者は、上記の書面の交付に代えて、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。この場合において、当該賃貸住宅管理業者は、当該書面を交付したものとみなされます。
管理受託契約の締結時の書面の交付
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結したときは、管理業務を委託する賃貸住宅の賃貸人(以下「委託者」という。)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付する必要があります。
書面に記載すべき事項
- 管理業務の対象となる賃貸住宅
- 管理業務の実施方法
- 契約期間に関する事項
- 報酬に関する事項(報酬の額並びにその支払の時期及び方法を含む。)
- 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
- 管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
- 管理業務の内容
- 管理業務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
- 責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
- 委託者への定期報告に関する事項
- 賃貸住宅の入居者に対する周知に関する事項
電磁的方法による提供
上記の書面についても、賃貸住宅の賃貸人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。この場合において、当該賃貸住宅管理業者は、当該書面を交付したものとみなされます。
管理業務の再委託の禁止
賃貸住宅管理業者は、委託者から委託を受けた管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならないとされています。
分別管理
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭を、整然と管理する方法(家賃等を受領する口座を自己の固有財産を管理するための口座と明確に区分し、かつ、当該金銭がいずれの管理受託契約に基づく管理業務に係るものであるかが自己の帳簿により直ちには別できる状態で管理する方法)により、自己の固有財産及び他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭と分別して管理しなければならないとされています。
証明書の携帯等
賃貸住宅管理業者は、その業務に従事する使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはなりません。
賃貸住宅管理業者の使用人その他の従業者は、その業務を行うに際し、委託者その他の関係者から請求があったときは、上記の証明書を提示しなければなりません。
帳簿の備付け等
賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え付け、委託者ごとに管理受託契約について契約年月日その他の国土交通省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならないとされています。
帳簿の記載事項
- 管理受託契約を締結した委託者の商号、名称又は氏名
- 管理受託契約を締結した年月日
- 契約の対象となる賃貸住宅
- 受託した管理業務の内容
- 報酬の額
- 管理受託契約における特約その他参考となる事項
電磁的方法による帳簿の作成・保存
上記に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイルまたは磁気ディスク等に記載され、必要に応じ賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって帳簿への記載に代えることができます。
保存期間
賃貸住宅管理業者は、帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後5年間当該帳簿を保存しなければならないとされています。
標識の掲示
賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める様式の標識を掲げる必要があります。
委託者への定期報告
賃貸住宅管理業者は、管理業務の実施状況その他の国土交通省令で定める事項について、国土交通省令で定めるところにより、定期的に、委託者に報告する必要があります。
上記の報告を行う際には、管理受託契約を締結した日から1年を超えない期間ごとに、及び管理受託契約の期間の満了後遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係る管理業務の状況について、下記の事項を記載した管理業務報告書を作成し、これを委託者に交付して説明しなければならないとされています。
記載事項
- 報告の対象となる期間
- 管理業務の実施状況
- 管理業務の対象となる賃貸住宅の入居者からの苦情の発生状況及び対応状況
電磁的方法による提供
管理業務報告書についても、賃貸住宅の賃貸人の承諾を得て、管理業務報告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。この場合において、当該賃貸住宅管理業者は管理業務報告書を交付したものとみなされます。
秘密を守る義務
賃貸住宅管理業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはなりません。賃貸住宅管理業を営まなくなった後においても、同様です。
賃貸住宅管理業者の代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、賃貸住宅管理業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはなりません。賃貸住宅管理業者の代理人、使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様です。