水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明
ここ数年台風や集中豪雨により各地で甚大な被害が生じています。
絶対に安全であるという場所は存在しない一方、多くの災害が「ハザードマップ」において予め災害が想定されていた地域で多く発生しているのも事実です。
こうした中、今回宅地建物取引業法施行規則が改正され、重要事項説明においてハザードマップについて説明することが義務付けられました。(施行は令和2年8月28日)
なお、ハザードマップに関する説明については、宅地建物取引業者が不動産信託受益権の売買、売買の媒介及び私募の取扱いを行う場合においても必要となります。
【追加された説明事項】
水防法施行規則第11条第1号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地
【宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)】
本説明義務は、売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された水害(洪水・雨水出水(以下「内水」という。)・高潮)ハザードマップ(以下「水害ハザードマップ」という。)上のどこに所在するかについて消費者に確認せしめるものであり、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととする。
本説明義務における水害ハザードマップは、取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村(特別区を含む。以下同じ。)が配布する印刷物又は当該市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したものであって、当該市町村のホームページ等を確認し入手可能な最新のものを用いることとする。
当該市町村に照会し、当該市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップの全部又は一部を作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。
なお、本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅地建物取引業者に義務付けるものではないが、水害ハザードマップが地域の水害リスクと水害時の避難に関する情報を住民等に提供するものであることに鑑み、水害ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい。
また、水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮するとともに、水害ハザードマップに記載されている内容については今後変更される場合があることを補足することが望ましい。