宅地建物取引業法の改正(2)営業保証金制度等の改善

 宅地建物取引業者は、営業保証金を供託するか、または保証協会の社員とならない限り、営業を開始することはできないとされています。

営業保証金及び保証協会は、宅地建物取引業者と取引をした相手方に損害が発生した場合に備えて、一定の金額をプールしておくための制度です。

しかし、営業保証金等からの弁済は「早い者勝ち」であるため、この制度を熟知している宅地建物取引業者が消費者に先んじて還付を受けてしまうようなケースもあり、消費者の保護が十分に図られていないという批判がありました。
 
そこで今回の改正では、営業保証金又は弁済業務保証金による弁済を受ける対象から宅地建物取引業者が除外され、消費者保護の強化を図っています。
 
 
第27条第1項
宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
 
第64条の3第1項第3号
社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(社員とその者が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者を含み、宅地建物取引業者に該当する者を除く。)の有するその取引により生じた債権に関し弁済をする業務(以下「弁済業務」という。)
 
第64条の8第1項
宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(社員とその者が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者を含み、宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき第25条第2項の政令で定める営業保証金の額に相当する額の範囲内(当該社員について、すでに次項の規定により認証した額があるときはその額を控除し、第64条の10第2項の規定により納付を受けた還付充当金があるときはその額を加えた額の範囲内)において、当該宅地建物取引業保証協会が供託した弁済業務保証金について、当該宅地建物取引業保証協会について国土交通大臣の指定する弁済業務開始日以後、弁済を受ける権利を有する。
 
 
なお、宅地建物取引業者が還付を受けられなくなったことに伴い、「供託所等の説明」についても改正がなされ、相手方が宅地建物取引業者である場合には説明不要となりました(第35条の2の改正)。
 
第35条の2
宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等に対して、当該売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、当該宅地建物取引業者が第64条の2第1項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員でないときは第1号に掲げる事項について、当該宅地建物取引業者が同条同項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員であるときは、第64条の8第1項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日前においては第1号及び第2号に掲げる事項について、当該弁済業務開始日以後においては第2号に掲げる事項について説明をするようにしなければならない。
一  営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所及びその所在地
二  社員である旨、当該一般社団法人の名称、住所及び事務所の所在地並びに第64条の7第2項の供託所及びその所在地
 
 
※この改正については、公布日から1年以内に施行される予定です。
ページトップへ