検査済証の無い建築物

建築基準法では、建築主は、工事完了後、建築主事又は指定確認検査機関による完了検査を受けて検査済証の交付を受けなければならないとされています(建築基準法第7条、第7条の2)。
 
ところが、現実には検査済証の交付を受けていない建築物が多数存在しております。
 
検査済証の交付を受けていない建築物は、建築当時の建築基準に照らして適切に工事がなされたかを判断できないため、増改築や用途変更を行うことが困難となっており、既存建築ストックの有効活用を阻害する要因となっています。
 
また、検査済証の交付を受けていない物件については、金融機関からの融資を受けづらいのが実情であり、このことも既存物件の流通を促進するうえでネックとなっています。
 
このような状況を踏まえ、このたび国土交通省が新たなガイドラインを公表しました。
 
このガイドラインは、指定確認検査機関を活用し、検査済証のない建築物について建築基準法への適合状況を調査するための方法を示したものであり、検査済証のない建築物の増改築や用途変更を円滑に進め、既存建築ストックを有効活用することが図られることが期待されています。
 
 
ガイドラインの基本的な考え方
 
【対象】
  • 木造戸建住宅のみでなく、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建築物を含め全ての建築物が対象。
【調査に必要な図書】
  • 「建築確認図書」(確認済証及びその添付図書)。
  • 「建築確認図書」がない場合は、依頼者が建築士に依頼し、「復元図書」を作成。
【調査方法】
  • 建築に係る「完了検査に関する指針」(=目視、計測、動作確認)をベースに、指定確認検査機関が、建築物が建築確認図書どおりの状態であることについて適合状況を調査。
  • 目視等で調査することが困難な事項(特に鉄筋コンクリート造における構造関係規定等)については、コンクリート強度の確認など必要に応じコア抜き調査などを実施した上で調査。(⇒耐震診断と同様の考え方)
【責任の範囲】
  • 調査者は、目視等により現地調査できる範囲において責任を負う。
 
 
 
ページトップへ