暴力団排除条項
「東京都暴力団排除条例」が平成23年3月18日に公布され、平成23年10月1日から施行予定となっています。
→ 「東京都暴力団排除条例」の制定について(警視庁HP)
同様の条例はほとんどの都道府県で制定・施行されており、暴力団排除というのは市民の法的な義務となっています。
不動産取引に関連するところでは、各地の条例でおおむね次のことが定められています。
- 不動産を譲渡・貸付する際には、相手方(買主・借主)が当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努める。
- 不動産の譲渡・貸付の契約書に、「暴力団事務所の用に供してはならない」、「暴力団事務所の用に供していることが判明した場合には、売買契約・賃貸借契約を解除できる」という特約を定めるよう努める。(暴力団排除条項)
- 不動産譲渡・貸付の代理・媒介を行う者は、上記規定の遵守に関して助言等をするよう努めること。
契約書に「暴力団排除条項」を定める意義は、万一譲渡・貸付した不動産が暴力団事務所として利用されてしまった場合に、買戻し・明け渡しの根拠になるということです。
また、そのような条項を予め定めることで、暴力団関係者をけん制し、当該不動産が暴力団事務所として利用されることを予防するという効果も期待できます。
もっとも、暴力団排除条項を契約書に定めたとしても、それですべてが解決できるわけではありません。
実際の取引で暴力団等と関わりが生じてしまった場合には、警察等と連携して対処する必要があります。
その場合でも、暴力団排除条項があり、それに基づいて買戻しや明渡を求めているということであれば、協力を得やすいことは間違いのないところです。
※東京都暴力団排除条項
(不動産の譲渡等における措置)
第19条 都内に所在する不動産(以下「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)をする者は、当該譲渡等に係る契約を締結するにあたり、当該契約の相手方に対し、当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めるものとする。
2 不動産の譲渡等をする者は、当該譲渡等に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。
一 当該不動産を暴力団事務所の用に供し、又は第三者をして暴力団事務所の用に供させてはならないこと。
二 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明した場合には、当該不動産の譲渡等をした者は、催告することなく当該不動産の譲渡等に係る契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができること。
(不動産の譲渡等の代理又は媒介における措置)
第20条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、自己が譲渡等の代理又は媒介をする不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることの情を知って、当該不動産の譲渡等に係る代理又は媒介をしないよう努めるものとする。
2 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をする者に対し、前条の規定の遵守に関し助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。