造作買取請求権

 建物の賃貸借契約が終了した際に、賃借人(テナント)が建物に付加した物(造作)の取扱いを巡ってトラブルとなることがあります。

 
借地借家法では、一定の場合に賃借人が賃貸人に対して当該造作を時価で買い取るべきことを請求できると定めています。
 
(造作買取請求権)
第三十三条  建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2  前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
 
 
造作とは、建物に設置されたもの(動産)のうち、容易に取り外すことができず、かつ建物の価値を増大させるものです。
 
容易に取り外すことができないとはいえ、建物と一体化しているわけではなく、建物とは別個のもの(動産)が造作であり、間仕切り、吊戸棚、雨戸、空調設備等がこれに該当します。
 
造作買取請求権の対象となるのは、「賃貸人の同意を得て建物に付加した」造作に限られます。
 
したがって、賃貸人の同意を得ずに付加したものについては買取請求をすることができず、賃借人は付加したものを取り外したうえで賃貸人に建物を返還しなければなりません。
 
 
なお、造作買取請求権については当事者の合意で排除することができます。
 
トラブルになりやすいところですので、賃貸借契約書にその旨をしっかりと明記しておくことが重要です。
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