信託受益権売買に関する広告等の規制(その1)
信託受益権の売買に関する広告等を行う際には、金融商品取引法の規制に留意する必要があります。
金融商品取引業者は、金融商品取引業の内容について広告その他これに類似する行為をするときは、一定の事項を表示しなければなりません。
金融商品取引法に広告についての定義はありませんが、パブリックコメントに対する金融庁の回答では、「一般的に広告とは、随時又は継続してある事項を広く(宣伝の意味も含めて)一般に知らせることをいうと考えられます」とされています。
また、広告に類似する行為については内閣府令第72条に定義されていて、「郵便、信書便、ファクシミリ装置を用いて送信する方法、電子メールを送信する方法、ビラ又はパンフレットを配布する方法その他の方法により多数の者に対して同様の内容で行う情報の提供」となっています。
上記を踏まえると、新聞広告、折込チラシ、ダイレクトメール、ウェブ広告やポータルサイトへの掲載等については、当然規制の対象になることがわかります。
ところで、実務では「物件紹介書」「物件概要書」等というような形で顧客へ情報提供をすることが多いですが、これについては広告規制の対象になるでしょうか?
前掲のパブリックコメントに対する金融庁の回答では、「単独の顧客のみを対象として行われる当該顧客に即した情報の提供については、当該行為が個別の販売・勧誘と考えられることから、広告等規制の対象にならないと考えられますが、多数の者に対して同様の内容で情報の提供が行われる場合については、投資者に対する適切な情報提供を担保する観点から、広告等規制の対象とすることが適当と考えられます」とされています。
ある一人のお客様のためだけに物件紹介書を作成する、ということは通常あり得ませんから、広告規制に則った形で作成するべきだと考えます。
(次回に続きます。)