ファンドが売主の場合の瑕疵担保責任
不動産取引においてファンドが売主である場合に、売主が瑕疵担保責任を負うかどうかについては、幾つかのパターンに分けて考える必要があります。
(1)現物不動産の取引の場合
特定目的会社(TMK)については宅地建物取引業法は適用されないため(資産の流動化に関する法律第204条)、買主が非業者の場合でも、瑕疵担保責任を免除する特約が可能です。
これに対し、投資法人(J−REIT)は宅地建物取引業者とみなされるため(宅地建物取引業法第77条の2)、買主が非業者の場合には、引渡しから2年以上瑕疵担保責任を負わなければなりません。
※合同会社(GK)が売主となる場合も考えられますが、この場合にはそもそも合同会社に宅地建物取引業免許が必要かということが問題になります。
すなわち、当該合同会社が複数の不動産を取得・保有・売却するということであれば免許が必要であり、免許が必要であれば当然宅地建物取引業法上の制限が課せられることになります。
(2)信託受益権の取引の場合
信託受益権の売買に関しては、宅地建物取引業法第40条の適用はありませんので、特定目的会社、投資法人、合同会社のいずれが売主であっても、瑕疵担保責任を免除する特約が可能です。
なお、上記のほかに留意して頂きたいのが「消費者契約法」です。
特定目的会社、投資法人、合同会社のいずれも事業者に該当するため、買主が消費者となる場合には、瑕疵担保責任を全部免除する条項は無効となります。
ファンドから不動産あるいは信託受益権を購入する買主の多くは事業者であると思われますが、区分所有建物の1区画を売却する場合等、消費者契約法が適用される場面もありえますのでご注意ください。
→ 参考記事 「消費者契約法と宅地建物取引業法」