第二種金融商品取引業者様: 経過経緯や判断理由を記録に残す
以前「社内記録」の重要性というテーマで記事を書きましたが、今日はその続きです。
「金商法が施行されてから、書類ばかり増えて大変だ」
という現場の声が多いのも確かですが、やはり記録を残すことは非常に重要なことなので、営業担当者を含めた会社全体に周知徹底していかなければなりません。
「社内記録」は、顧客への対応が適切に行われているかを事後的に検証できるようにするために作成が求められるものです。
もっと端的に言ってしまえば、金融当局による検査が入ったときに、きちんと説明ができるようにしておくということです。
「金融商品取引業者等検査マニュアル」でも、
取締役等は、取締役会に限らず、業務の運営等に関わる重要な会議等に関する会議録を適切に作成・保存しているか
という記述があり、検査の際のチェックポイントの一つとなっていることが窺えます。
重要なことは、議事録や稟議書を形式的に作るということではなく、ある行為・行動を行った「経緯」「判断理由」をしっかりと記録しておくことです。
たとえば、ある契約書が保管されているとして、「その契約がどういった事情で締結されたのか」、「その契約を締結することを決断するあたり、どのような判断を行ったのか」、といったことを書面化しておくということです。
顧客カード同様、フォーマットについては法的な決まり事はありません。
会議体であれば議事録、会議体でなければ稟議書といったスタイルをとることが多いと思います。
ただし、議事録や稟議書では細かな事項まで網羅されていない場合もありますので、案件毎に「業務記録」「取引記録」といった形を作ったほうがよいかもしれません。
担当者毎、あるいは部門毎に記録の精度がまちまちとなってしまうことは好ましくありませんので、会社として統一した書式、記載項目を定めたほうがよいでしょう。
また、担当者が作成した記録を部門長(上司)がチェックするとともに、内部管理部門やコンプライアンス部門もその内容を確認するような業務フローを作ることも重要です。