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標題の1:29:300とは、ハインリッヒの法則(Heinrich's law)を表しています。
ハインリッヒの法則とは、
1件の重大事故・災害の影には、29件の軽微な事故・災害が潜んでいて、29件の軽微な事故・災害の影には、300件の「事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例」がある
というものです。
重大な事故が起きてしまうと、時にはその企業の存続に深刻な影響を与えてしまいます。
そのため、重大事故を未然に防ぐというのは経営にとって非常に重要な事柄であります。
このハインリッヒの法則に従えば、重大事故を防止するためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが必要ということになります。
コンプライアンス(法令遵守)の考え方もこれに通じるものがあります。
法令違反等の行為によって顧客に損失を与えたり、監督官庁から処分を受けたり、あるいは刑事罰を科せられることは、企業の存続に関わる重大な事故といえます。
しかし、そのような(重大な)法令違反行為が単発で行われているということはなく、トラブルになっていない(軽微な)法令違反行為がに行われていて、さらには違法とまでは言えなくても不適切な行為が日常的に行われている可能性があると考えられます。
逆にいえば、経営トップから末端の従業員(正社員のみならず、派遣社員、契約社員、アルバイト等も含む)に至るまで、コンプライアンス意識を浸透させることによって、結果的には重大な事故を未然に防ぐことにつながると考えられます。
それは単に「法令を守りましょう」とお題目を唱えるだけではなく、人間は必ずミスをする、あるいは時には悪事を働いてしまうこともある(これは決して性悪説ということではなく、完全・完璧な人はいないという当たり前の前提です。)という考えに立って、そのようなことが起きないような「仕組み」を作っていくということだと思います。
金融商品取引法の施行によって、不動産プレーヤーにとってもコンプライアンスを無視することはできなくなりました。
今まで良い意味で「勘と度胸」でやってきた世界ですから、やたら書類が増えたり、手続きに時間がかかったりすることに戸惑いを覚えていらっしゃる方も多いかと思います。
しかし、1回でも重大事故を起こしてしまうと二度とプレーができなくなってしまう可能性もあるわけですから、コンプライアンスについても前向きに捉えて頂き、業務の進め方等について今一度見直しをされてはいかがでしょうか。