消費者契約法と宅地建物取引業法
消費者契約法は、「事業者」と「消費者」との間で締結される契約(消費者契約)について、様々な規制をしています。
【 消費者に契約取消権 】
(1)重要事項についての「不実告知」
(2)契約の目的となるものに関する「断定的判断の提供」
(3)重要事項または重要事項に関連する事項についての「不利益事の不告知等」
(4)不退去、監禁により消費者を「困惑」させた場合
【 消費者の利益を一方的に害する条項の無効 】
(1)事業者の損害賠償責任の免除(瑕疵担保責任の全部免除も含む)
(2)損害賠償の予定・違約金が平均的損害額を超える場合
(3)遅延損害金が年14.6%を超えるもの
(4)消費者の利益を一方的に害する条項
宅地建物取引業者は「事業者」に該当しますので、当然消費者契約法の適用があります。
一方で、宅地建物取引業者には宅地建物取引業法の適用も受けます。
消費者契約法は民法や商法の特別法ですが、民法と商法以外の法律と消費者契約法が適用される場合には、消費者契約法以外の法律が優先されることになっています(消費者契約法第11条第2項)。
そのため、宅地建物取引業者に対しては、宅地建物取引業法が優先して適用されることになります。
具体的には、消費者契約法においては、損害賠償の予定・違約金の額は「事業者に平均的に生ずる損害額」までしか認められていませんが、宅地建物取引法の規定が優先される結果、代金の2割(20%)まで請求することができます。
もっとも、昨今の判例は消費者を保護しようという傾向が強く、「違約金は信義則上手付金の倍額までしか認められない」とした裁判例(福岡高裁平成20年3月28日判決)も存在するため、必ずしも宅地建物取引業法で定める上限いっぱいの損害賠償が認められるとは限りませんので注意が必要です。